中国家電企業の急成長と国際化

はじめに
中国の地場産業における3つの観点
社会主義市場経済体制における地方政府の役割
・「独自の」経営システム
中国企業の国際化
Ⅰ中国家電産業の発展と青島の産業政策
1.中国家電産業発展の概要
1980年代を通じて中国は家電の国産化政策
地方政府等が主導する技術導入競争が個別的であり過ぎたため、外貨不足と、国内における弱小企業の乱立および闇取引が横行した。
1980年代半ばからの中国政府の介入
1980年代後半、基幹部品の国内調達が可能
1980年代末、輸入代替化はほぼ達成
1990年代を通じて、供給過多と国際化
2.青島市における家電産業の発展と産業政策
「青島市」:海爾集団、海信集団、澳柯瑪集団
cf.「順徳市(広東省)」:美的、科龍、容声、万家楽、格蘭仕
青島市の(ブランド)企業への直接管理
・財政的支援と「技術改造」。品質とブランドの向上に貢献
・地域を越える事業拡大、外国企業との適切なコーディネート
Ⅱ中国家電産業の急成長と経営システム:海爾集団と海信集団を中心に
1.海爾集団:市場主義管理の市場連鎖の展開
(1)これまでの急成長の流れ
多角化と買収・合併
「OEC」:Overall Every Controll and clear
(2)市場主義管理と市場連鎖システム
「三工制度」:優秀工、合格工、試用工
SST管理法」:索報、索賠、跳閘
(3)製品開発制度における制度の展開:型号経理制度の導入
「項目組長」
「型号経理制度(project manager system)」:1998年導入
開発部門の設計のoutsourcing
・outsourcingによる設計期間の短縮化
・新しい意匠やデザイン、設計技術や材料技術の習得
(4)物流・購買における市場連鎖の展開
2.海信集団:技術開発志向の人本主義的企業
(1)急成長の軌跡
(2)発展の基盤となる製造技術
理念:「質量在我手中、海信在我手中」、「質量不能一栄倶栄、却下一毀倶毀」、「100%合格率の追求」
中国では、しばしば仕事を細かくやらないという悪い習慣
TPM」:Total Productivity Maintenance
「TPI」:Total Productivity Innovation
(3)製品技術の多様化:外国企業との技術交流と独自技術の開発
(4)基礎技術の開発と技術開発研究センターの機能
インキュベーター」:R&Dセンターに関連研究所の設立、技術開発と人材蓄積、研究所から会社へ変換
1995年、海信集団の技術開発センターが国家級に昇格
独立法人
産学連携:山東大学海信研究院
(5)部品調達とサプライヤー管理について
部品の内部加工率がかなり高い

海爾集団に関して、事業規模の急拡大に伴う組織の肥大化に対応するために、独立採算制を敷いた印象がある。それはM&Aを中心にした多角化を主因にしたために、遠心力を重視した方が企業経営上の成果が望めるように考えられる。
海爾集団の「開発力」のoutsourcingに関しては、自社のブランド力を基礎としている。それは家電市場のproduct life cycleの速さに対応しているものと考えられる。利便性の技術水準が標準以上であるならば、残る課題としては耐久性の技術水準に絞られる。この点のoutsourcingは必要な程度に留めておく事が、ブランド力維持の観点から望ましいものと思われる。
(途中)
以下、きちんと考えていないのですが、
産学連携的なbusinessを展開する事を考えた場合にどのように製品化するのかについて、既に資本力もありブランドも認知されている海璽集団を利用するという事はあるのではないか。おそらくもうしているのだろうけれども。